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札幌・大通エリアのタイ料理店が業態変更。「昭和のデリシャス」テーマにストレスフリーな店を目指す

アクセスしやすい便利な立地。懐かしさ感じる看板が目印
店内は50人程度収容可能
各テーブルにはハイボールと特製サワーのサーバーが設置されている
スパイスの風味香る「毛沢東スペアリブ」(980円)
左からクライマーズ代表取締役の伊川晶士氏、蝦夷ホールディングス代表取締役の相馬慶一氏、ルンゴカーニバル代表取締役近藤一系氏

10月1日、札幌・大通エリアのタイ料理店が業態変更し、「大衆アラカルト『ギャルソン』」となった。北海道、東北、タイなどに飲食店を展開する蝦夷ホールディングス(青森県弘前市、代表取締役:相馬慶一氏)のグループ、ルンゴカーニバル(北海道札幌市、代表取締役:近藤一系氏)が運営する。

同店は「昭和のデリシャス」をテーマにストレスフリーな店を目指す。

25歳で独立。生牡蠣を365日100円で提供し続ける為、仕入強化で北海道各地を奔走した10年

蝦夷ホールディングス代表取締役の相馬慶一氏は青森県弘前市出身。大学進学で札幌に来て、札幌市内の飲食店で働いたのち25歳のとき独立。

創業店はすすきのエリアの「オーパスワン」(現ハウスダイニングルンゴカーニバル)。厚岸産大澤水産の生カキを一年中1個100円で提供するなどで話題を呼んだ。

牡蠣を1個100円で提供しても成立するビジネスモデルについて相馬氏は仕入総合力の高さがポイントと話す。「このビジネスモデルの背景には、自社農園『金丸農園』から最低コストでいただける野菜の存在や、漁師からの浜直、15年お付き合いさせて頂いている八百屋さん、札幌中央市場、出店した各地域で繋がれた生産者の方々や業者様のご協力があってのこと。正直、普通に仕入れしていたのでは赤字になってしまうモデルです。そしてお客様が牡蠣だけ食べて帰ってしまったら弊社グループは潰れてしまいますね(笑)オーダーのABC分析をしながら相乗積で原価バランスを取る。結果、弊社グループの原価率は32~35%となっています。弊社は本部でお店を作り、軌道に乗せてからスタッフに低リスクで暖簾分けしていくスタイルの会社なので、『牡蠣1個100円』を武器に、各オーナーたちがオリジナルなカラーを出して成長していく面白おかしい会社組織になりました」と話す。

現在でも出店を重ね、グループ店は札幌9店、東北5店、タイ4店のほか鹿児島県や大分県でも展開している。

自分で注いで好きなだけ飲める、ストレスフリーな店

既存のタイ料理店を業態変更しオープンした「大衆アラカルト『ギャルソン』」。もっとも大きな特徴は各テーブルに設置されたハイボールと特製サワーのサーバー。客自らがグラスに注ぐという楽しさや、注文しなくてもいい気軽さ、そして30分500円で飲み放題などの点が好評だという。
このほか、店内中央に冷蔵ショーケースを設置し、刺身や前菜はセルフスタイル。好きなタイミングで自由に行き、自由に選び席に戻る。精算は昔の回転寿司スタイルを採用し、皿で値段が決まっているため都度会計の必要はない。このシステムの導入で客は飲み始めから1〜3品ほどつまみがある状態となる。厨房は前菜がないため火を使う料理から一気に作り始めることができる。

相馬氏は「僕は飲食店という仕事に携わり『ストレスを与えられたこと』『ストレスを与えてしまったこと』どちらの経験もあります。その中でスタッフとお客様の両目線から考え、携わる方々がストレスを抱えず楽しい飲食空間を堪能して貰う為にはどうしたら良いのだろう、と半年考えて作ったのがこの業態。飲食店は働き手不足によるIT化、AI化が進んでいますが、飲食店に対するお客様の概念をそもそも覆す発想も大切だと思っています」と業態開発のきっかけを話す。
また、「1つのグラスで飲み続けていただけるお客様が多く、10杯飲む方であれば単純計算で9杯分洗い物が少なくなります。こういったスタッフ、お客様にとってストレスフリーな飲食店をスタンダードにしていきたいという想いを持って始めました」と開店に至った経緯を話す。

メニューは「踊る肉団子」(580円)、「毛沢東スペアリブ」(980円)、「昭和のカツ煮」(780円)、「蟹トースト」(580円)、「皮付きフレンチフライポテト」(380円)、「馬刺赤身」(680円)などを用意。手頃な価格を目指し、全品1,000円以下とした。

個が輝く会社でありたい

2019年3月にはEmishi Holdings Thailandを設立し、タイの4店舗も今は暖簾分けでFC化して各店長がオーナーとなっている。このように同社は20人以上のオーナーがおり、本部と資本関係のない「個」の経営者の集まりで集団を形成。決裁権もすべて各経営者に委ねられているという特徴がある。

相馬氏はこういった運営方針について「人は痛みを知らないとわからないことがある。独立して責任を負う立場になって初めて人は本当に傷つく経験をする。僕はそれを『心の筋トレ』と呼び、損したり、失敗したり、人に迷惑をかけてしまったりして傷つき、その心を修復してみんなが強い人間になっていく。そんなトレーニングルームみたいなのがうちの会社です」と話す。
また、「何かあれば本部でカバーするので『個』の皆さんが思い切ってチャレンジ出来るよう土俵を整え、オーナーをどんどん増やし、蝦夷ホールディングスは『強い個の集団』と言われる会社を目指して今後も成長していきたい」と展望を語った。

12月3日に仙台に 「農家と漁師の台所 北海道レストラン長町店」(宮城県仙台市太白区長町8-18-3)を出店予定。「強い個の集団」で各地域に仲間を増やしながら今後も店舗を展開していく。

(取材=中田 徹)

店舗データ

店名 大衆アラカルト「ギャルソン」
住所 北海道札幌市中央区南1条西4丁目藤井ビル2階
アクセス 札幌市営地下鉄南北線・東西線・東豊線大通駅から徒歩2分
電話 011-596-7440
営業時間 17:00~23:30 (料理L.O. 23:00 ドリンクL.O. 23:00)
定休日 年末年始
坪数客数 23坪50席
客単価 3000円
運営会社 ルンゴカーニバル
オープン日 2019年10月1日
関連リンク 大衆アラカルト ギャルソン(Facebook)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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