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十勝の「一心グループ」が札幌初進出。北海道・十勝の食材の魅力を全国に伝える

商業ビルの2階に位置する「一心」。ランチタイム、ディナータイムいずれも十勝産食材を使用した料理を味わえる
店内はカウンターとテーブル席を設ける
十勝・上士幌町でハーブを食べて育ったリブロースを使用した「十勝ハーブ牛炙り肉寿司」(899円)
十勝・音更町の竹内養鶏場「米艶卵」を使用した「厚焼き玉子」(599円)
代表の佐藤 慎吾氏。今後は道外へも展開していくという

2月1日、札幌駅前通の商業施設「sitatte sapporo」2階に「大衆食堂十勝居酒屋 一心」がオープンした。M&Aによって事業譲渡を受けたもので、「一心」がついた店名などの飲食店を多数展開する「エイムカンパニー」は札幌初出店となる。

同店は十勝産を中心に、北海道産の優れた食材を使用した料理を提供。ランチ~ディナーまで幅広く利用できる店を目指す。

何をしても続かなかった。でも飲食業界だけは長く続いている

エイムカンパニー代表取締役の佐藤慎吾氏は北海道・帯広市出身。帯広市内の高校を卒業した後、設計事務所や第三セクターなどさまざまな業種を転々とした。「飲食にはあまり良い印象がなかったので避けていました」と佐藤氏は話す。20歳のころ、先輩が経営する飲食店で働いたことで「お客様と接するのが楽しい」と感じたことをきっかけに飲食業界に飛び込んだ。

創業店は1999(平成11)年にオープンし、11年間営業したメンズパブ・ジェイルハウス(現在は閉店)。その後2002(平成14)年に一心ブランド一号店となる「和鮮食場一心」を開業した。「一心は水商売目線で考えて開業したお店です。当時は北海道産とか十勝産とか、そういうこだわりはなくて、同伴やアフターで利用できる店というのがコンセプトでした。そのため、営業時間は18時から翌4時までだったんです」と代表取締役の佐藤慎吾氏は話す。「一心」開業時は飲食店経営に関するノウハウもなく、「仕込みという考え方がありませんでした。30分くらいで終わるものだと思っていたのですが、3時間前には始めなければダメだということもそこでわかりました。実際に開業してみると、クローズ作業に午前10時くらいまでかかっていたので、家にも帰れなくて寝る時間もありませんでした」と当時を振り返る佐藤氏。なかなか家に帰れない生活が続くなか、疲労が溜まり、営業終わりに倒れて入院したこともあったそう。それでも苦労して営業を続けることで、着実に知名度を伸ばしてきた。

その後、当時街中に朝まで営業している店がなく、自分たちが行ける店がなかったことから「ラーメン拾丁目食堂」を出店。2008(平成20)年に現在の運営母体であるエイムカンパニーを設立した。

働くことの楽しさ、十勝産食材の素晴らしさに出会い考え方が一変

「開業以来、ずっと水商売目線で商売を続けてきました。居酒屋でも水商売目線で営業していたところ、従業員がなかなか定着しませんでした。当時はなんで辞めちゃうんだろう? って思っていたんですよ」と佐藤氏は話す。そんなとき、「居酒屋甲子園」に出会う。居酒屋甲子園で出会う人たちは、「みんな楽しそうに働いていて。仕事ってつらいもの、お金を稼ぐのは大変なもの、とずっと思っていたのですが、価値観が変わりました」と振り返る。十勝乃長屋への出店などを経て、経営スタイルは変わっていったという。

佐藤氏は「田舎が嫌で札幌、東京でずっと商売がしたかった」と思い続けていたそうだが、経営塾で農家さんと出会ったことで十勝産、北海道産にこだわった食材提供を始めた。「十勝の生産者さんは優れた人が多いな、と気がついたんです。熱い思いとこだわりをもって作っていて、味も抜群にいい。これは東京にはない魅力だと気がつきました」と佐藤氏は話す。さまざまな農家さんと取引を増やしていき、現在では18農家、30人の生産者と直接取引を行っているという。

生産者と直接取引を始め、直送を売りにし出してから、当時250万円の売り上げが月900万円になった。「これは武器になると思ったし、生産者さんたちの商品を多くの人に食べてもらえるのが良いな、と感じました」と佐藤氏は話し、メニューも料理や食材の説明をしっかりと記載するようになった。同店のメニュー表は生産者の顔写真が掲載され、食材ひとつひとつのこだわりについてしっかりと書かれている。

北海道・十勝の魅力を世界へ発信する

同級生3人で始め、「心をひとつに」という意味から「一心」と名付けられた同グループ。2019年はM&Aによって「立呑みパラダイス」「café bar Bank」「大衆食堂十勝居酒屋 一心」の3店舗を札幌に初出店した。2019年度は大阪へ出店し、グループで20店舗・年商10億円が目標だという。

今後の展望について佐藤氏は「北海道・十勝を活性化する揺るがない企業にしていきたい。関東・関西に展開し、十勝のアンテナショップのような役割を果たし、十勝産食材のおいしさを味わってもらうだけじゃなく『十勝に行ってみたい』と思ってもらえるような店舗運営を行いたい」と話す。

(取材=中田 徹)

店舗データ

店名 大衆食堂十勝居酒屋 一心
住所 北海道札幌市中央区北2条西3丁目1-20 越山ビル 2F
アクセス 札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅から徒歩3分、札幌市営地下鉄東豊線さっぽろ駅から徒歩6分、札幌市営地下鉄東西線・東豊線大通駅から徒歩8分、JR札幌駅から徒歩7分
電話 011-207-0001
営業時間 ランチ 11:00~15:00(料理L.O. 14:00、ドリンクL.O. 14:00)、ディナー【月~金・祝前】17:00~23:00(料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:00)【土日祝】17:00~22:00 (料理L.O. 21:00 ドリンクL.O. 21:00)
定休日 なし
坪数客数 21坪30席
客単価 ランチ700円、ディナー3000円
運営会社 エイムカンパニー
オープン日 2019年2月1日
関連リンク エイムカンパニー
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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