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札幌狸小路の人気店「せいす」2階にグループ最新店舗 昭和な雰囲気の店内で日本酒、焼酎とともに気の利いた料理が楽しめる「純情」がオープン

ビルの店舗扉の内側にあえて壁と扉を設置。店舗は狭くなるが、壁を設けたことで入店前から雰囲気を演出することができる
店内はカウンター席の他、ベンチ式のちゃぶ台席も
分厚いチャーシューと半熟の目玉焼き、キャベツ、マカロニサラダがセットになった「チャーシューエッグ」(800円)
豆腐の上にからしと長ネギ、削りたてのかつおぶしを乗せた「湯豆腐」(600円)
同社の経営戦略について話す梶原剛氏

昭和な雰囲気を感じる店内で上質な料理と日本酒、焼酎を楽しめる「さっぽろ酒呑 純情」が4月23日、狸小路6丁目の「酒と銀シャリ せいす」2階にオープンした。同店は「酒と銀シャリ せいす」や「立ちっぱ酒 せいすスタンド」などを運営するアンドセイスの5店舗目。

「なかなか入れない店」として知られる「酒と銀シャリ せいす」は2017年6月1日にオープン。こだわりの食材を使用して生み出される料理は、味はもちろん、写真映えすることもあり、30代後半~50代の客を中心としつつも、若い女性客からも支持されている。

場所に合わせて業態を開発する

アンドセイス代表の梶原剛氏は1973年生まれ。北海道・小樽市出身で、高校卒業後は札幌のホテルに勤務。その後、東京の飲食店30店舗ほどで修行し、最終的には有名和食店の店長を勤めた。「飲食企業を経営するのではなく、飲食店をやりたい」と独立した。

2017年にオープンした繁盛店「酒と銀シャリ せいす」は、今は亡き梶原氏の祖母の「せい」という名前が由来。「空き物件を見たときに、『大好きだったおばあちゃんに捧げる店を作ろう』とアイディアが浮かびました。どんな店にしようか考えた時、料理上手なおばあちゃんの美味しかったご飯、そしてお米とみそ汁が浮かんだ。このふたつを中心に、品数豊富な食事を提供する店にしようと決めました」と話す。客単価4,500円を超えており、札幌の居酒屋としては安くないが、こだわった米を中心に料理にこだわったこと、特徴的な入り口の日除け暖簾が人通りの多い狸小路で目立ったこと、高級すぎず大衆過ぎない店舗デザインなどが受け、今では月売上1,200万円となった。同社の出店にはどのような特徴があるのだろうか。

同社の出店スタイルは物件ありきでそこに合う業態を開発するというもの。グループ1号店となる「Oyster Bar SALT MODERATE」は、繁華街すすきのと大通公園に挟まれ、さまざまな人が行き交う場所であったことに着想を得た。当時札幌では数があまり多くなかったオイスターバーと、認知度が上がり始めていた熟成肉をハワイテイストの料理で味わえるとあって人気になった店。若い頃にさまざまな業態を経験したからこそ生まれたアイディアだ。

次に選んだのはなんてことない昭和チックな店

空き物件に合わせた業態を開発することで、「新鮮さ」を感じる出店を続けることができている。2018年にオープンした「せいすスタンド」は、「せいす」ブランドを冠した立ち飲み店。「人通りがある場所でしたが、町並みにそぐわない印象がある場所でした。だからこそ、イメージを一新したかったんです」と梶原氏が話す通り、「せいす」が出店したことでエリア全体が引き締まった印象になった。料理が美味しいと評判だった「せいす」の名前を冠したことで料理が美味しい「立ち飲み店」として話題に。10坪の店ながら月間700万円を売り上げ、業界紙にも取り上げられた。

次に選んだ業態はなんてこと無い、昭和を感じる店。4月23日オープンの「さっぽろ酒呑 純情」は「せいす」の2階に位置する。元々2フロア借りることが条件の物件で、これまで倉庫として活用してきた。今回開店するにあり梶原氏は「おばあちゃんへの思いをもっと形にしたかった。この思いは無垢な愛、『純情』という言葉がふさわしいということで、店名は純情に」と店名の由来を話す。コンセプトは店名から「昭和を感じる店」に決めたそう。実際に店内には昔懐かしいビール会社のポスター、おみくじ器、昔のキャラクターのビニール人形などが並ぶ。

提供されるメニューは「チャーシューエッグ」(800円)や「湯豆腐」(600円)など酒のアテに最適なものを用意。ドリンクメニューは焼酎や日本酒を中心に取り揃える。このほか、給食で食べたようなメニューも提供予定だという。おでんなどは店内で調理を行うが、手の込んだメニューは1階「せいす」で行うことでイニシャルコストや人件費を下げることができた。

目指すのは50年、100年愛される企業

現在「せいす」は坪売上40万円、「せいすスタンド」は70万円。「せいす」のヒットもあり、「せいすスタンド」は驚異的な売上だといえる。しかし梶原氏は「一時的なブームで終わりたくない。そのためにはもう少し売上が目減りしても、循環を続けることが大切」だと話す。

今後について梶原氏は「創業当初は2年で3店舗という目標がありましたが、1年で達成することができました。100店舗、売上100億、フランチャイズ展開を目指すのではなく、自分が引退した後も続く店を作り続けたいです。流行りの店より、時間をかけて老舗のような店になりたいと考えています。そのためには企業の体力を維持しなければなりません。新規出店することで企業の体制が万全になるのであれば、新規出店をしていきたい」と話す。

(取材=中田 徹)

店舗データ

店名 さっぽろ酒呑 純情
住所 札幌市中央区南2条西6 住友狸小路プラザハウス2階
アクセス 札幌市営地下鉄南北線すすきの駅から徒歩6分
電話 011-213-0623
営業時間 (月~土)17:00~翌1:00、(日・祝)17:00~23:00
定休日 火曜日
坪数客数 15坪31席
客単価 4000円
運営会社 株式会社アンドセイス
オープン日 2019年4月23日
関連リンク 株式会社アンドセイス オフィシャル
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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